« 2010年1月 | トップページ | 2010年4月 »

2010年3月

金子彰子詩集「二月十四日」

○金子彰子詩集 『二月十四日』(言葉 井坂洋子*装丁 金田理恵)
 龜鳴屋 2010-02

 この金子彰子さんの詩集には39篇の詩、そのうち6篇を除いて、昨年の三月から金子さんのブログに掲載されてきたものが収められています。ブログに発表されたものにも、細かく手が入れられ磨き上げられています。
 ブログで読んでいた金子さんの詩が本になると聞き、さっそく注文しました。2月24日、封筒から取り出すのももどかしく、手にしました。装丁もとてもすてきです。それから二週間近くがたちます。早くこの詩集の感想をブログに書きたいと思いながら、なかなか書けませんでした。私のつたないことばでは、この詩集の魅力を伝えることなどとうていできそうにないからです。
 それでも、少しだけ感想を書いておきたいと思います。最初に置かれた「東」を読むうちに、なぜか胸に迫ってくるものがあります。そして、さらに読み進もうとするのですが、なかなか先に進ませてくれないのです。それは詩が晦渋だからではありません。読む者の足が自然に遅くなりときに止まってしまう、かんたんに通り過ぎてはもったいないと思わせる何かがあるように感じたのです。大切なものを見落としてはならないという感じがしました。
 巻末の井坂洋子さんのことばの中に「...ポップな軽み、ことばのカッティングの冴え、...」という評があります。軽いようでありながら、たくさんのものが詰まっているのでしょう。押し付けるのではなく、それとなく読み手の速度を落とし、ゆっくり味わうようにしむける何かがあるように思えるのです。読む者として、とても幸いな経験をさせていただいたように思っています。
 この感想が的を射たものであるかは分かりませんが、この詩集は、まちがいなく私の宝物になりました。限定214部のこの詩集。すでに100部が売れたそうです。龜鳴屋(カメナクヤ)ホームページに案内がのっています。
 装丁も、とても工夫された素晴らしいものになっています。うれしいしかけもあります。ぜひ手に取っていただければと思っています。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ポエトリーカフェ参加の記

 文系ファンタジックシンガーのPippoさんが主催している「ポエトリーカフェ(略してポエカフェ)」というのがある。うたい文句は「詩への扉をノックしよう!」だ。肩のこらない詩のちいさな勉強会ということで、月一回原則月末に開かれている。現在は、近代詩の詩人をとりあげている。今まで、とても参加したかったのだが、タイミングが合わず、ブログでの報告をうらやましく眺めていた。
 その「ポエカフェ」にについに参加できたのだ。第5回となる今回は三好達治と、丸山薫の二人が取り上げられた。三好達治は今でも知られている詩人と思うが、丸山薫は埋もれてしまっていると言える。当日の様子や参加者の感想はPippoさんのブログに掲載されている。初参加ということで、現場につくまではかなりドキドキしていた。いっしょに行った妻も緊張していたようだ。しかし、終ってみれば本当に行って良かったと妻と確認し合った。
 Pippoさんの進め方がうまく、何と大半の人が初参加だったのに、和気あいあいだったと思う。Pippoさんからは、詩への熱が伝わってくる。二人の詩人の生い立ちや時代背景等を説明して行く時も、朗読でも、伝えたいという思いが溢れている。その熱に照らされて、こちらも静かにしているつもりだったのが、いつのまにか図々しくもしゃべっている。(汗)
 二人の詩人について感じたことを少しだけ記しておく。もとより浅学な者の言うことである。
 三好達治については、Pippoさんが言うようにその叙情性と日本語のすばらしい表現は高い次元で融合しているのだと思った。実は、戦争中に戦争協力の詩を書いていたと言う事実が、どこか抵抗感があった。しかし、朗読されるなかで、あらためて彼の日本語で表現しようとする熱さを感じたのだった。戦争協力の詩とそのような影をみじんも感じさせない「花筺」を同時期に書いていた三好達治はどんな思いで、あの時代を過ごしていたのだろうか。
 一方、ペカフェに向けて読んでいく中で、丸山薫はすっと、心に入ってきていた。世界との向き合い方は三好とは、まったく異なるように思う。丸山の影響で三好が詩を書くようになったと、この会でも言われていたが...。今回のPippoさんの朗読では「病める庭」が、やはり印象的だった。その他にも、いくつもの詩が朗読されて行ったが、どうしてこの詩人が埋もれて行ったのだろうという思いを深くした。三好に比べて、手に入る詩集も少ない。「すっと入ってくる」と感じたところに、何か鍵があるのかなと今になって考えている。それにしても丸山薫が気にかかる。幸い図書館に「新編 丸山薫全集」があるので、この際、全巻読破をしてみようと思っている。
 詩人の人となりを知ることで、詩の世界が広がって行く。すばらしい時間をすごさせていただいたが、残念ながら次回は日程の調整がつかない。Pippoさんは、詩の世界のすばらしさを伝えようと熱い。せめて、次回とりあげられる山之口獏の詩を読むことにしたい。(読みたい本が増えて行く...)
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年1月 | トップページ | 2010年4月 »