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2010年4月

活発な暗闇のこと

○活発な暗闇
 江国香織編 いそっぷ社 2003-04

 この本に関しては、前回のブログで「『たぶんかなり無秩序な、無論ひどく偏った、でもどう見ても力強いアンソロジーです。力強すぎるかもしれません。』(江國香織)この編者の言葉で言い尽くされているように思える。」と書きました。たしかにそうなのですが、それでもまだ何かひっかかるものがあって、どうしてと考えていました。もう少しだけ思ったことを書いておきます。

 この本を知ったのは、岐阜でインターネット古書店をなさっている徒然舍さんのツイッターででした。(照徒然舍さんのブログはこちら)興味をひかれてさっそく図書館で借りてきたのでした。その本の最初に置かれていたのが先に引用した編者である江國さんの言葉です。全体を一読して、納得のことばでした、
 それにしても、この題名「活発な暗闇」とは?暗闇が活発ってどういうことと、ひっかかってしまいました。ここには、江國さんの目で選ばれた59の詩が三部に分けて集められています。詩人は37人。日本人だけでなく海外の詩人も多く取り上げられ、ヴァラエティー豊かです。江國さんはこれらの詩を「可笑しみのあるもの、弱っちい感じのするもの、軽やかなもの、明晰なもの、遠くにつれていってくれるもの、勇ましいもの、の集まり」と記しています(巻末におかれた「活発な暗闇のこと」の中で)

 そんなアンソロジーに「活発な暗闇」という題名です。江國さんは今引用した言葉のすぐ後に「暗闇を恐れなくていい、と教えてくれたのは書物でした。考えてみればそれは道理で、書物というのは皆、暗闇の住人なのでした。そしてこれは無論地図ではなく、暗闇でまたたくものをコレクションしたささやかな一冊にすぎません。」と記しています。ここに暗闇がでてきます。
 暗闇を抱えて生きる人間の生み出す書物ゆえに、本は暗闇に属するのかと思いました。その暗闇を抱えながら光を見つけよう、ないしは生みだそうとする人間の営みの結果としての書物(ここでは詩)があるのかとも。それゆえにそれが「暗闇でまたたくもの」なのでしょうか。

 ここに集められた詩の背後に、一人一人の詩人の人生があります。ここに集められているのは人生と向き合った人々の詩と言えるように思えます。神を信じつつ若くして亡くなった者もいれば、自ら命を絶った者もいます。でも、ここにおさめられた詩の中で、それぞれが生きようとしていると思うのです。それゆえの「力強さ」ではないかとも...。
 アンソロジーは、そこにおさめられた詩人の世界を通しての編者の世界とも言えるのではないでしょうか。ここには、編者である江國香織さんの世界が明確にあります。それが最初に引用した冒頭のことばとなっているのでしょう。

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とりあえず3ヶ月間の記録として

 気がついたら前回の更新から1ヶ月経っていました。読書の記録としては3ヶ月ぶりです。ノートを見ながら、この間に読了した本を短いコメントともに記しておきます。(雑誌は省いています)この中から、あらためて何冊か取り上げたいと思っています。それにはもっと頻繁に更新しないといけないですね(汗)。

○三好達治詩集
 三好達治 思潮社 現代詩文庫1038 1989-07
 さまざまな表現を持っている詩人。その幅の広さには驚かされる。あまりにも大きな詩人。その一方で鮎川信夫の解説には「逃避幻想の詩人」という副題がつけられている。「日本がよくよく駄目な国なら、彼も長命であろう。」という厳しい批評。戦争詩(全詩集にも未収録)の問題をどう考えるか。

○新編 丸山薫全集1
 丸山薫 角川学芸出版 2009-08
○新編 丸山薫全集2
 丸山薫 角川学芸出版 2009-08
○新編 丸山薫全集3
 丸山薫 角川学芸出版 2009-08
 2/27のポエトリーカフェ以後、丸山薫を追い続けている。理由をはっきりと言うことはできないのだが、「病める庭園(にわ)」を読んだ時の衝撃がきっかけであることは確か。全6巻を読み終えたとき、見えて来るものを楽しみにしながら読み進めている。

○北園克衛詩集
 北園克衛 思潮社 現代詩文庫1023 1981-06
 ことばへの挑戦。

○童貞女受胎
 アンドレ・ブルトン、ポオル・エリュアール共著 山中 散生訳
  西沢書店 (ボン書店 1936年刊の復刻) 1983?
 ボン書店の復刻ということで手に取った。現在、このような本は作れるのだろうか。

○活発な暗闇
 江国香織編 いそっぷ社 2003-04
 「たぶんかなり無秩序な、無論ひどく偏った、でもどう見ても力強いアンソロジーです。力強すぎるかもしれません。(江國香織)この編者の言葉で言い尽くされているように思える。

○トロムソコラージュ
 谷川俊太郎 新潮社 2009-05
 現代詩手帖(2009-11)の久谷雉氏の書評にひかれて読む。
○詩の本
 谷川俊太郎 集英社 2009-09
 現代詩手帖(2009-12)の「詩と世界の繋留点を探る 2009年展望」で上記「トロムソコラージュ」とともに取り上げられている。それをきっかけに読む。二冊ともスタイルの違いはあるのだろうが、すっと入ってくる。再読したい。

○日本語とはどういう言語か
 石川九楊 中央公論新社 2006-01
 読みながらこんなことをメモっていた。〈自分は文で思考し、言を他の人のように持ち合わせてはいないのではないか〉日本語という言語から、思考のあり方にまで考えを広げさせてくれる本と言えるのではないだろうか。

○雪明りの路
 伊藤整 木馬社 1952-03
 若いころ暮らしたことがある北海道の風景を思い出しながら読んだ。現代では遠くなった風景が多いが、私がいたころは、背景となる風景が少しは残っていた。風景を背景にし,すなおに綴られている詩。著者の青年の思いも直裁に。

○あけがたにくる人よ (思潮ライブラリー・名著名詩選)
 永瀬清子 思潮社 2008-05
○永瀬清子詩集
 永瀬清子 思潮社 1979-06
 1月のトークイベントで永瀬清子の「苔について」が紹介されたのをきっかけに「あけがたにくる人よ」を読む。読んでいくうちに、永瀬さんの世界に引き込まれて行った。そこから「永瀬清子詩集」へと進み、これから「続永瀬清子詩集」を読むところ。

○父・山之口貘
 山之口泉 思潮社 1985-08
 一気に読了。山之口貘の娘、泉さんの著書。父への娘としての思いが込められている。現在手に入りにくいらしいが惜しい。(私は図書館で)

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