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貧しき信徒 支部長から(1)

          Ikishiro3
 ここにあげた2篇の詩は、八木重吉の『秋の瞳」巻頭におさめられたものです。今回からポエカフェ参加記の番外編?として八木重吉について書いていきたいと思っています。Pippoさんが会長をつとめる「日本近代詩復興委員会」において、ずうずうしくも「貧しき信徒支部長」を名乗らせていただいていますので、少しは活動もしなければなりません(笑)。おつきあいいただければ、さいわいです。

 とは言いましても歴史の中に埋もれがちな日本近代詩人の中にあって、八木重吉は今やメジャーな存在と言えるかもしれません。クリスチャンの信仰詩人として知られる一方で、今年も小学館から選詩集が「永遠の詩」シリーズの一冊として出版されたほどです。私ごときが何か書けるはずもないのですが、一読者として、八木重吉の生涯を含め、簡単な紹介ができればと思っています。

 最初にあげた2篇の詩、それぞれ4行だけのとても短い詩です。その短い詩の中に、凛とした雰囲気がただよっているのではないでしょうか。とてもひきしまった4行です。この記事を書くにあたり、最初にどの詩をあげようかと悩んだのですが、この2篇には、その後の重吉の行く路が端的にあらわれているように思っています。しずかに、そして背筋のぴんとのびた詩人の姿勢が浮かび上がります。心のうちがわを見つめる目と、ひとりの存在をこえるものへの目、それがここにはともにあるように思います。空を見るあかんぼを見ている重吉の目。あかんぼの姿に、おかしがたいものを感じ息をころさざるを得ない重吉。自分の心の中に、みずからのこころに痛みを与える枝があるのをしずかにかなしく見る重吉。その目は、重吉の生涯を通じて変わらぬものとしてありつづけたものでしょう。

 最初の詩集である『秋の瞳』は重吉28歳1925年(大正14年)に世に出ました。その2年後1927年(昭和2年)には30歳で地上の生涯を終えています。ほんとうに短い生涯です。死を目前にして、自ら選んだ詩集『貧しき信徒』が翌年に出版されています。重吉自らの手になる詩集は、この2冊だけです。しかし、その背後には、膨大な詩稿が残されていました。それをふくめての詩集が後に刊行されていくことになり、その中で重吉の名は知られていくようになります。

 今回は、最後に30歳で昇天するまでの重吉の年譜を簡単に記しておきます。次回からは、生涯のエピソードをふくめながら詩を紹介していきます。

  明治31(1898) 2月9日 東京府南多摩群堺村相原大戸
          (現在の東京と町田市相原町)にて代々
          農業を営む八木家の三男二女の中の次男
          として生れる。
  明治37(1904) 6歳、大戸尋常小学校に入学
  明治45(1912) 14歳、隣村の神奈川県津久井郡川尻村
          小学校の高等科を卒業し、
          神奈川県鎌倉師範学校に入学。
          英語の成績抜群。
          日本メソジスト鎌倉教会のバイブルクラ
          スへ出席したと言われる。
  大正6(1917)  19歳、鎌倉師範学校本科第一部を卒業し、
          東京都高等師範学校に入学。
  大正8(1919)  21歳、駒込基督会の富永徳磨牧師より受洗。
          内村鑑三の著作や講演を通して、無教会信仰に
          近づく。
  大正10(1921) 23歳、3月、同宿の石井教諭に頼まれ、
          島田とみの勉強をみることになる。
          東京高等師範学校文科第三部(英文科)を卒業。
          4月、兵庫県御影師範学校教諭兼訓導
          (英語科)として任地に赴く。
  大正11(1922) 24歳、7月19日 島田とみ子(18歳)と結婚。
  大正12(1923) 25歳、詩を手製の小詩集(詩群)に
          まとめ始める。
          5月26日 長女桃子誕生。
  大正14(1925) 27歳、1月1日 長男陽二誕生。 
          3月 千葉県東葛飾中学校英語科教諭に転任。
          8月 処女詩集『秋の瞳』を新潮社より出版。
  大正15(1926) 3月 柏にて肺結核と診断される。
          5月 神奈川県茅ヶ崎町南湖病院に入院。
          10月頃より余病の併発に苦しみながら
          闘病生活。
  昭和2(1927)  10月26日。昇天。

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