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ポエトリーカフェ参加の記 第2期の4 (大木実+Pippoミニ朗読ライブ)

 早いもので、詩姫Pippoさん主催のポエトリーカフェも通算19回目となった。第2期4回目となる今回は7月30日に行なわれた。今回も参加の記を綴っておく。
 場所は2期になっておなじみの「ちめんかのや」さん。何度行っても入口にとまどう。2期は初めての参加の妻アンジーも、そのたたずまいにびっくりしていた。今回は、いつもとちがい「夏企画!ポエカフェ“大木実”+Pippoミニ朗読ライブ」と銘打たれ、Pippoさんの朗読ライブが設定されている。これも大きな楽しみの一つとして参加した。ポエカフェの中での朗読を聞いてはいるが、ライブ形式はほんとうに久しぶりだ。
 また、今回取り上げられる詩人は大木実だが、第1期ですでに取り上げられている。PippoさんのHPであるP-Waveの「今週の詩と詩人」で紹介された詩人のうち、2010年のアクセス数第1位だったというのが、その理由だ。それにしても、2回目にどんな展開を見られるかと期待は膨らむ。
 参加者は18名。昨年の鎌倉でのポエカフェをのぞけば最大人数。新しい方も4名おられた。前回も書いたが、ポエカフェの広がりを思わずにはいられない。この人数となると、参加者の自己紹介だけでも時間をとられるが、そこでも各自各様の自己紹介で、わきあいあいといった雰囲気が醸し出されていく。今回は特にNさんの自己紹介で盛り上がった。
 雰囲気が和んできたところで、いつものように大木実の生涯を紹介しつつ詩を取り上げていくというスタイルで進められていく。2期に入っての特徴は、参加者全員がかならず1篇の詩を朗読するという「朗読くじ」だ。
 この「くじ」、非常にいい効果をあげていると思う。朗読で緊張される方もいらっしゃるかもしれないが、朗読の後に有無をいわさずコメントを求めるPippoさんに引き出されて語る、それぞれの感想がとても興味深いのだ。会を重ねるにつれ、発言が面白くなっているような気がする。今回は大木実の詩が、日常的なことを題材にした、とっつきやすいものでることもあってか、けっこう思い切った?発言もあった。「やちゃった?」や「最後の2行入れ替えた方がよくない?」という駄目だし?ともとれる発言は皆さんに大受けだった。
 Pippoさんの解説とみなさんの発言の中で、一つの詩をきっかけに思いが広がっていく幸せな時間があっという間に過ぎていった。
 「同時代のモダニズムの詩人だったら、この部分は書かないよね」という趣旨の意見もあったと思うが、大木実の詩は、表現されていることばの解釈を自ら限定するような箇所が多いように思う。また取り上げられている題材も、「半径5メートルの詩人」という呼び名がふさわしい、日常のことがほとんどである。わずかな例外は戦争での体験をとりあげたものであろう。
 しかし、戦争体験を取り上げたものにしても、それはその時代における彼の「日常」であったと言えるのかもしれない。彼が大事にうたっている日常とはかけ離れた、いやそれを壊す「日常」であったとしてもだ。
 今回の参加に先立ち、あらためて大木実の詩を読んでみた。その際のメモに「日常が日常であることを大切にした詩人」と書いた。「大切に」というより「切望した」と言った方がよいかもしれない。家庭的な幸せに満たされていない子ども時代。やっと家庭をもったと思ったら、戦争に駆り出される。戦後の貧窮生活。その中で、日常をうたいつづけた大木実にとって、日常が日常であり続けることに、はかりしれない価値があったのではと思う。
 戦争体験の詩も、日常を破壊するものとしての『日常』へのしずかな怒りが込められているように思う。「怒り」ということばは少し違うかもしれないが…。先ほど触れた、ここまで書くかという部分も、日常への思いの強さではないのだろうかと今思っている。大木実にとって、それは書かなければならないことだったのではと。
 そう考えた時、生前に刊行された「全詩集」に年譜の代わりに載せられた「自伝」という詩の最後におかれた「特記事項/無し」が、とても心に響いてきた。私にとって、大木実の詩の中で、もっとも心惹かれているのは「自伝」とさえ言ってもよいのかもしれない。
 さて、大木実についてはここまでにして、Pippoさんのミニライブにも触れておかなければならない。カヒロさんの作ったSEにのせての朗読は、朗読される詩のことばひとつひとつが、スッと心に入って来るものとなっている。「てふてふ1〜3」でなじみ深いスタイルだが、生ならではのよさをあらためて確認した。「ちめんかのや」のギャラリースペースも、ふさわしい場を提供してくれていた。照明が落された中、Pippoさんの正面にある大きな窓を通して、木の陰が壁にそっとうつっている。ほの明るい中で、しずかにといってよいほどに、朗読していくPippoさん。
 カヒロさんのSEも効果的だ。詩の朗読にはいろいろな」スタイルがあるのだろうが、Pippoさんの朗読は作品を浮き立たせ、聞き手に、詩の世界への入口を提供するという点で、とても効果的だと思う。声質もそのような朗読に向いているのだろう。自分を表現するのではなく、詩を伝えようとする朗読がそこにある。
 8/20と9/17に「真夏に飛ぶ/Pippo のポエトリーステージ」として朗読ライブを行なうとのことだが、今から楽しみにしている。
 

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