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ポエトリーカフェ参加の記 第2期の9 (村上昭夫)

 久しぶりのポエカフェ参加の記です。すでに主催のPippoさんはじめ、参加された方のブログもあるが、遅ればせながら1月26日に開催された村上昭夫の回の参加記を記しておく。(12月に行われた「伊藤整」の回に参加できなかったのがかえすがえすも残念。)1回抜けただけで、とても久しぶりの感じがしている。そしてポエカフェの時間は楽しく、あっという間に過ぎ去った。(ポエカフェ主催のPippoさんのブログはこちら。)
 会場はKAKKAcafeさん。時間にやや遅れ気味で到着。すでに大半の方が席についておられる。資料もすでに配られている。常連の方々のお顔がなつかしい。その中に初めての方のお顔も見られる。新しい方が4人参加されていた。リピーター率が非常に高いポエカフェだが、着実に新しい方が増えている。ポエカフェを通しての人と人とのつながりが、確実に広がっていることをうかがわせる。
会場の様子が、カヒロさんによってアップされている。テーブル席はいっぱい。カウンターを背にしても何人かが座る。私もカウンターを背にしたが、この席、けっこう良い。全体が見渡せるうえに、Pippoさんの声も皆さんの朗読の様子もよく分かる。
 KAKKAさんの用意してくださる軽食(わたしはサンドイッチ)とドリンクをいただきながらというのもよい。今回は手作りのジンジャーエール。とてもおいしかったです。
 今回取り上げられた詩人は、村上昭夫。刊行された詩集は『動物哀歌』ただ1冊。現代詩文庫に1999年に収録され、その翌年には現代詩手帖でも特集がくまれたが、知られない詩人のいとりに入るのではなかろうか。参加された方々も、始めて読んだという人が多かったようだ。わたしも、かつてPippoさんのサイト、P-Waveで取り上げられて、それ以来気になっていた詩人だが、今回、はじめてまとめて読んだ。
 ポエカフェ第2期になって始められた「朗読くじ」。参加者全員がくじに書かれた詩を朗読するのだが、くじをひく時にはけっこうどきどきする。それが楽しみでもある。朗読するという行為を通して、あらためて気づかされることもけっこうあります。どう読むか短時間のうちにいろいろ考える。自分の朗読したしについての感想もそれぞれが話すが、それを聞くことも刺激になる。さらにそれをきっかけの意見の交換も、さらに面白い。一人で読んでいるだけでは開けない世界が広がってくる。今回、わたしは『一番星』を朗読したが、自分の感想に対するPippoさんの解説とともに、S田さんの感想もとても刺激になりました。S田さんが自分で読まれた詩への感想も、とても興味深いものでした。
 参加された方々の感想の中で、村上昭夫の詩全般についてだったと思うが、「余裕がない」という感想をもたれた方がおられた。印象に残ることばだった。たしかに、村上昭夫の詩にはそう言わせるものがあるのかもしれない。
 シベリア抑留という体験。その頃のことをまったく語らない村上昭夫。復員後、職場では元気に活動していたというが、病におかされ、死を考えざるをえない状況に追い込まれて行く村上昭夫。復員する前のおとについて、村上昭夫は何も語っていないと言われる。その沈黙が重い。
 そんな状況の中で紡がれて行った詩のことば。人間の存在と、あまりにも厳しい状況でで向き合わねばならなかった、ひとりの人間がしぼりだしたことばのように、私には迫ってきた。それは、読むものに「余裕がない」と思わせる厳しさを湛えているのかもしれない。
今回のポエカフェで配布された資料に、村野四郎の『亡羊記』の後書の一部があった。そこには「もしも実在というものが、誰の感性や意識とも直接にふれることができるものなら、詩というものはいらないだろう。いやそのとき、ぼくらはすべて詩人になるはずである。/しかし実際には、ぼくらはどんな実在をも見てはいないのだ。」とあった。村上昭夫が傾倒した詩人村野四郎のこのことばが、村上昭夫を理解するうえでの助けになるのではないかと思っている。村上昭夫にとって、人間存在の深みに向き合うことが、「実在」にふれることだったのではと思う。
 今回は取り上げられなかったが、『人』という詩の冒頭には「人のことをいうのは恐ろしい/それは世界のかなしみのなかで/一番かなしいことだ」とある。ひらがなで書かれた「かなしみ」それは人間の存在の奥底を見つめようとする者に見えてくる「かなしみ」なのだろうかと思う。その「かなしみ」を抱えつつ、向き合いつづけた村上昭夫。そこに「強さ」を見ることができるようにも思う。

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