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2012年4月

ポエトリーカフェ参加の記 リターンズ2 (室生犀星)

 詩姫Pippoさん主催のポエトリーカフェも、3月をもって第2期を終了した。第3期は5月からとのことだが、その前に4月には2回の特別編が組まれた。その一つが14日に行なわれた、ポエカフェリターンズ2・室生犀星の会だ。第2期の最終回に取り上げられた室生犀星。ゲストにいがらしみきおさんを迎えて、30名の参加で行なわれ大盛況だったが、室生犀星はそれだけで終了することを許してくれなかった。

 定員13名が一杯になり、そのうち7名が犀星2回目。前回のポエカフェでさらに犀星を知りたくなった人が確実にこれだけはいるということだ。さらにはポエカフェ初参加の方が3名!参加するたびに、ポエカフェの広がりを実感する。5名から始まったポエカフェ、まもなく3期目に入るのだが、Pippoさん、カヒロさんの地道な努力の結果にあらためて頭が下がる。(Pippoさんのブログはこちら

 受付開始時刻少し前に到着したが、まもなく参加者の方が次々とこられる。早めの受付開始となる。KAKKAcafeさんでのポエカフェ名物となった、特製のポエカフェメニューも用意されている。今回は2種(写真はこちら)、どちらもとても美味しい。このメニューもポエカフェの楽しみの一つになっている。

 さて、今回のリターンズだが、ゲストに犀星愛の爆発している大学生「いらひ」さんをお迎えした。この春で大学4年とのことだが、犀星愛のすごさ、ただものではない。すでにPippoさんもご自身のブログで書かれているが、いつもの感じで解説するPippoさんに絶妙のタイミングで入ってくるいらひさん。そのコンビネーションはまさに長年のコンビをくんでいるかのよう。これが打ち合わせなしというのだからすごい。しかも、いらひさんが補足して行く内容が、また充実している。その見事な掛け合いの中で、犀星が動き始めて行くように思える。前回と、解説内容は重複もあるのだが、いささかも気にならないのも、この掛け合いの絶妙さによるところ大と思う。

 参加された方々からも、それにつられてか、さまざまな意見・感想が出てくる。発言される方の視点の違いが興味深い。自分以外の様々な視点からの意見を聞くことが出来るのも、ポエカフェの魅力だ。恒例の朗読くじによる、皆さんの朗読と相まって、前回とはまた違った楽しさがあふれていた。どちらが良いというのではなく、ゲストと取り上げられる詩人との関係の違いや、参加人数の違いによって、異なった楽しみ方が出来るということだろう。両方ともに参加できて本当に良かった。

 ところで、まだまだ十分に読んでいるとは決して言えない者の感想だが、例によって少しだけ記しておく。犀星の作品についてあらためて感じたのは、詩について言えば、やはり初期の作品と晩年のものが、心に入ってくる。しかも初期のうちでも、第1詩集である『詩の詩集』よりも、それ以前の作品に心惹かれる感じがする。『愛の詩集』の世界、どこか肩に力が入っているように感じるのだ。当時犀星が読んでいたものによる影響があるためであろうか。若さゆえの意気込みであろうか。『抒情小曲集』にある柔らかさが私には好もしい。

 それとの関連もあるのだが、犀星は「強くありたい」という願望を持ちつづけていたのではないかという気がしている。果たして生涯を通じてかは、もちろん私などには分からないが、そんな印象を受けている。生きていくことに強くありたいという願いを持ちつづけた犀星。そのエネルギーの強さを、彼の生涯を見ていく時にとても感じる。Pippoさんも犀星のエネルギーの強さを指摘しておられたと思うが、それが犀星の魅力の一つとなのだろう。晩年の、愛人の存在も含め、艶やかな作品群を生み出すエネルギーといい、読む者はいつの間にか、そのエネルギーのなかにひきこまれていくのかもしれない。

 前回の参加記で、「もがく」ということばが犀星について思い浮かぶと書いた。もちろん一つの言葉で犀星をくくることなど到底出来ないのだが、エネルギーの強さとあわせて、今も頭に残っている。生きることにもがき、書くことに生きるためのエネルギーを注ぎつづけた犀星。愛人の尊者を隠し続けられたのも、その中でのことという気がする。

 もう一つ、どうしても心にかかることがある。それは養母の赤井ハツとの関係だ。自伝的作品に表されたハツと、実際のハツ。そこにはギャップがあったことは、いらひさんからも指摘されていた。そこに実母のことが重なってくる。何度も自伝的作品を書いていることとあわせて、自分の生い立ちに対し、犀星がどう向き合っていたのかが、気になって仕方がない。犀星の作品を読む時、どうしても彼の人生が気になってしまう。最期に書いた詩「老いたるえびのうた」の最後に「生きてたたみをはうているえせえび一疋/からだじゅうが悲しいのだ。」とある。犀星のエネルギーと同時に、この「悲しみ」を思う。それは不可分のものなのだろう。

 最速のリターンズとなった、犀星ポエカフェ。これで終わりとなるとは思えない何かが残ってるようだ。参加した皆さんが、犀星のエネルギーにつかまって、一人ポエカフェを続けているかもしれないなどと、思うような会だった。

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