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実は美味しい! ポエトリーカフェ参加の記 第3期の2(高橋新吉)

 24日にKAKKAcafeさんで開催されたポエカフェ。会場に着くなり、目に飛び込んできたのは、KAKKAさんが用意してくださったポエカフェスペシャルフード、「ダダサンド」。ロールパンにチャーハンが!!「ダダ」にちなむということでのKAKKAさん、苦心の作。新吉の出身地にちなんだ宇和ゴールド入りのアイスティーとともに、さっそく注文。「ダダサンド」、これがみごとに美味しくまとまっている。アイスティーも、もちろん。今、このスペシャルフード、新吉ポエカフェにうってつけだったように思えている。

 今回の参加者は新しい方2名を含めて15名。取り上げられるのは、ダダから禅へと移行して行った詩人として知られながら、今は埋もれたようになっている高橋新吉。参加者は、これまでほとんど読んだことのない方、ダダに興味を持ってこられた方、と新吉との関係は様々。

 Pippoさん自身がTwitterで「詩の入口♪には、ちょとハード!?」とつぶやいておられたが、「ダダ」も「禅」もとっつきにくい感じを与えるかもしれない。しかし、会がはじまるや、そんな杞憂はどこかへいってしまい、様々なコメントが途切れることなく出てくる。なかでもDさんの「新吉は禅に出会わなかったら死んでいたかもしれない」というコメントが、わたしにとってはいちばん印象に残っている。

 楽しきポエカフェから1週間。いまだに新吉から離れられない。ただ、彼の作品を一気に読み進めることもできないという不思議な体験をしている。会の始まる直前にも、「読んでいてストップしちゃいました」と言ったのだが、けっして嫌なのではない。ことばを受け取るのに時間がかかると言った方が良いのかもしれない。

 同時に、今回ほど詩人についての印象を書きにくいこともないように、感じている。うかつなことを書けば新吉に叱られそうな気がする。新吉の詩には、軽く接するのを拒むようなものが感じられるからだ。若い頃チフスでいのちの危険に直面し、精神的な危機をも経験している新吉。そのような中でダダと出会い、後に禅へと映って行く。その新吉の歩みと作品を見ていくとき、彼の詩は存在の本質に肉薄しようとするもののように感じられる。

 新吉はことばで「死」と戦いつづけたように思える。恒例の朗読くじであたった『父』を朗読した。「父は」ということばではじまる、15行の詩だ。精神を病んでいる中、父の自殺に直面した新吉。その心の底からうめきだされたことばとして受けとめた。すでに禅へと移行していっている時期だが、このことを境に精神的危機から脱して行ったようだ。

 この詩には、生身の新吉の声が聞こえてくる。その後、新吉は禅と深い関わりを持つ詩人として生きていくことになる。まさに、先にふれたDさんの発言どおりと言える。そこに述べられている「父の愛」。しかし、それが彼の追い求めた禅とどのように結びついて行ったのか、そこに大きな疑問がある。

 そもそも、「断言はダダイスト」で『DADAは一切のものに自我を見る。』と書いた新吉。それは客観的な意味の世界を否定するところに立つことだろう。その自我さえも、無意味に見えて行く中での葛藤。その中での精神的危機。その中で禅に救いを求めても不思議ではないように思う。

 どうも小難しくなってきてしまう。新吉の詩がもつ形而上的な面が、どうしても気にかかってしょうがないからだろう。ポエカフェの自己紹介の時間に、高橋新吉と自分ということで一言と求められた。そのとき「近くて遠い存在」と言ったと記憶している。その感じは、今もより強くなってきている。「遠いというのは、わたしが「禅」の世界にいないということだ。「近さ」を感じるのは、彼の戦っていた葛藤の面のようだ。それが形而上的な問いとなる。

 ふだんの生活で忘れそうになる、こんな問いに直面させてくれる詩人がわたしにとっての高橋新吉だ。面倒くさい面もあろうが、大切に読みたい詩人の一人であることは、確かなことのようだ。KAKKAさんが用意してくださった「ダダサンド」のように、見た目はびっくりだが、食べると美味しい新吉だ。

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