« 2012年11月 | トップページ | 2013年2月 »

2012年12月

「ご本人を前にして」 ポエトリーカフェ参加の記 第3期の7(高階杞一)

 3年以上続いているPippooさん主催のポエカフェ。今回はポエカフェ史上39回目にして初めての現代詩人の登場となった。近代詩人の場合、ご本人がいないことをいいことに(?)、場合によってはバッシングの嵐になることもあった。そこまで行かなくても、参加者がそれぞれ、感じたことをそのまま口に出していたように思う。果たして、ご本人を前にしての今回、どうなるのだろうと思いながら、初会場となる「中庭の空」さんのドアを開けた。

 江古田にあるこのお店。かざらない、それでいて暖かい雰囲気が漂ってくる。ポエカフェ会場として、よい場所が見つかったという第1印象。第3期の恒例となっていた詩人にちなむ特製フードも用意してくださっていた。今回はその名も杞一シュトーレン。紅茶と一緒にいただいたが、どちらもとても美味しかった。ポエカフェだけでなく、近くにあったら常連になりたいお店。暖かいもてなしの心が伝わってきた。今回は詳しく見ることができなかったが、詩集などの本も常備されている。

 さて、開始時刻を前に、常連さんの一人が、「きょうはご本人の前で朗読するんでしょ…」と問いかけてくる。そう!ポエカフェ恒例の「朗読くじ」は、今回も用意されている。近代詩人なら、自分が読めるように読んでいればよいのだが、作者を前にしての朗読となると……。

 初参加5名を含めて17名の参加者。(中には、高階さんと親交のある詩人の江夏さん、内田さんもおられる。)ご本人を前にするということから来る緊張感を含みながらのスタート。しかし、そんな緊張も、参加者の自己紹介が進むにつれほぐれていった。

 会自体は、いつもと同じようにPippoさんが用意した資料にそって進められていく。ただ、ご本人がいるということで、年譜の前半はご本人に伺いながらとなった。子ども時代のことを話してくださった時、小学校上級生の頃、詩が好きだった先生に連れられて、竹中郁の「きりんの会」に出席したことがあるという。その時はまだ、子どもということもあり、自覚はなかったそうだが、その後も、杉山平一に呼ばれて大阪シナリオ学校の講師になったりと、これまでポエカフェで取り上げられた詩人の名前が出てくる。日本の近代詩から現代詩につながりを目の当たりにしたような不思議な感覚。続けて参加しててよかったとあらためて思う。

 経歴とともに、詩作における裏話を聴けたのも、ご本人がいらっしゃればこそ。このあたりのことは、古書ますく堂さんが、うまくブログにまとめてくださっているが、一つの詩に半年もかかることがあるとか、マンネリをきらう思いとか、作品だけを見ていては分からないことが語られていった。

 Pippoさんから「現代詩の最高峰!」と紹介された高階さん。その世界のほんの少しだけ、今回のポエカフェでのぞかせていただいた。Piipoさんが用意してくださった資料。図書館で借りて来他」詩集。今も、それらを読み返している。息子さんの死に際して書かれ、ご本人は人から何か評されたくないというようなことを語られた「早く家に帰りたい」を含め、さまざまな顔をみせてくれる作品群。参加者も、それぞれに多様な反応をしていっているようだった。

 ポエカフェの日から1週間たつ。今も、高階さんの作品を読み返している。多様な表情の底から、一つの響きが絶えることなく聞こえてくるようだ。1951年生まれの高階さん。作品が書かれている時間の幅は広い。しかし、数多い作品世界をつらぬいて聞こえてくる音があるようだ。そして、その音の響きと自分の距離を、今思っている。今までポエカフェで紹介されて来た詩人とは、何かちがう感覚に包まれている。好きとか、心動かされる、とかいったことばではとらえられないものだ。どう表現してよいか分からない感覚。適切な形容詞をさがしたか、まだみつからない。とりあえず距離感ということばでしか表せないのだが…。

 少なくとも、高階さんの詩を通して、自分の中で何かが反応していることだけは確かだ。世代が同じことも関係あるのかとも思ったが、それで片付くことではなさそうだ。距離感といったが、それは自分の外にだけあるということではなく、重なることも含めての距離感とでもいったらよいだろうか。とても深いところでのもののようだ。この感覚からなにが見つかるのか、期待が膨らむ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年11月 | トップページ | 2013年2月 »