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「永遠の詩」 ポエトリーカフェ参加の記 第4期の4(堀口大學)

 8月24日、いつもより遅い開始時間午後8時より少し早く、雨粒を感じながら雑司ヶ谷の「あぶくり」さんに到着。次々と参加者が到着。新しい方も何人か、中にはGoogleで検索して来られた方もおられた。また、第1期以来の懐かしい方の顔も。いろいろな方との出会いや再会もポエカフェの楽しみの一つだなと思っているうち、ふと気がつくと、かなりの男性率、あつて1度だけ開始時間には男性だけということもあったが、それ以来。理由は不明。

 自己紹介も飛ばしそうになるほどのPippoさん熱とともに会は始まっていく。取り上げられる詩人は堀口大學。前回の上田敏の『海潮音』とともに訳詩集『月下の一群』で、大正末期の若き詩人に絶大な影響を与えたという。『月下の一群』には66人のフランス詩人による300篇以上の詩をおさめる大作。これを33歳の時に刊行しているのだが、自らの審美眼によって訳し続けた結果と言う。今回の資料にも、8人・11篇が紹介されている。それもあって、前回に配布された、Pippoさん渾身の小論「明治・大正期の日本近代詩の発生と展開について」に堀口大學に関わる内容を補足した改訂版part2も配布され、まずは、その解説から始まる。その中で、堀口大學の大きさが浮かび上がってくる。「あぶくり」さんの用意してくださった特製フード「チーズケーキのごろっと果実ミックスベリー(いちご、きいちご、ラズベリー)がけ」を美味しくいただきながら、堀口大學の世界が広がっていく。

 いつも通りの朗読くじも配布。生涯の紹介とともに、参加者の朗読を聞けるのが楽しい。聞きながら、大學の日本語の広がりを感じる。自作の詩、翻訳詩ともに、日本語としてのここちよさがある。それでいて、日本語の枠を越えていくようなしなやかさを感じる。資料に紹介されている「作品に宿る詩の魂(芯)をつかみながら、的確に言葉をあてがう」ということは、こういうことなのかと、原詩を知らないながらに、納得させられる気がするから不思議だ。

 紹介された生涯の中で、印象的なのは、海外生活の長さと、その間の語学習得だ。外交官だった父親の赴任地へ着いていく形で、ブラジルを皮切りに、ベルギー、スペイン、パリ、…で暮らしている。スペインではマリー・ローランサンと交歓したという。フランスでは、自作短歌を自ら仏訳し『TANKAS』として出版までしている。序文はポール・フォール。この序文の日本語訳を読んでみたいが、探しても今のところ見つからない。

 豊かな語学力とともに、翻訳を通し、多くの詩人・作家を日本に紹介した堀口大學。翻訳書の多さにPippoさんも資料に書ききれないという、異例の状態。自らの審美眼で選んだ作品を自らの日本語で紹介していく姿は、あまりにも大きい。若い頃は体が弱かった堀口大學だが、生涯を通じて生み出した作品の数はあまりにも多い。資料に記載された自作詩、翻訳詩だけでも、その豊かさの片鱗がうかがえる。参加者からも、さまざまな感想が出される。

 朗読を聞き、紹介された詩についての皆さんの声を聞きながら、大學のことばへの海外生活の影響を考えていた。自らの短歌を仏訳できるまでの力は、日本語を中からではなく半ば外から見ることにもなるのだろうか。それにしても、大學の詩のことば、わたしにはとても心地よい。いや心地よいと言うより、肌が合うといったほうが良いだろうか。これまでポエカフェで出会った詩人の中でも、ちょっとこれに似た感覚が思い出せないでいる。

 その感覚を確かめたくて、今も堀口大學の詩集、訳詩集を読み続けている。晩年まで詩作を続けた堀口大學。資料に88歳の時の「お目あて」という詩がある。「ーー現代詩?/ーー小さい!小さい!/僕の狙いは/永遠の詩ですよ」という4行の短い詩だ。また「詩の道」には「AからBへ/詩の道は間道です/地図には出てない裏通り/誰も通らない/一度っきりの/細道です」とある。ここに込められた堀口大學の思いを考えている。最後まで詩人であり続けた堀口大學がそこにいるように思う。

 堀口大學への興味をかき立てられた今回のポエカフェ。あっというまに2時間余の時間が過ぎ去ってしまった。ぜひ、続編をと願いつつ、会場を後にした。

 

 

 

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