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「ブレイク寸前」 ポエトリーカフェ参加の記 第4期の8 (西尾勝彦)

 2月22日の午後2時前、新宿区立中央図書館に尾形亀之助全詩集を返却し、副都心線に乗り、ポエカフェ会場「くしゃまんべ」さんのある王子に向かう。その車中で、今回の課題詩人となっている西尾勝彦さんの詩を読もうと鞄を開けるが、ない。西尾さんの詩集をあらかじめ手にできなかった。それでポエカフェのホームページに掲載されていた詩をプリントしていたのだが…。

 西尾さんは今年42歳になられる現役の詩人。現役の詩人をとりあげるのは高階さんに次いで二人目と思う。西尾さんは、年表によると2007年に詩を書き出したとある。すでに私家版を含めて5冊の詩集がある。そのうち1冊は書肆山田から出ている。4月にはブックロアから『耳の人』という詩集が刊行される。詳しい経歴は「古書ますく堂」さんがブログでうまくまとめてくださっているのでそちらを参照いただきたい。年表の末尾には「好きな作家・アーティスト」が挙げられていた。その理由も記されているのだが、名前だけうつしておこう。ブッダ、老子、荘子、臨済、寒山、陶淵明、H.D.そろー、熊谷守一、尾形亀之助、天野忠、つげ義春。これにも興味をひかれる。

 さて、今回のポエカフェ、11日に奈良で行なわれた特別篇の東京版と言えるもの。奈良では、ご本人をお迎えしたとのこと。東京から指をくわえてながめていたのだ。奈良での会に参加された方の土産話も含めて、会場の「くしゃまんべ」さん考案の特製フードを美味しくいただきながら、時間はあっというまに過ぎ去っていった。

 西尾さんは、詩を書き始めてからまだ7年目ということにまず驚いた。資料には4月刊行の詩集『耳の人』からのコピーまで含められている。Pippoさんの話しでは、尾形亀之助を読んだのが詩を書くきっかけとなったという。恒例の朗読くじで当たった詩を読みながら、それぞれが発言をしていくのはいつもの通り。今回は、奈良の会に参加された方の話も楽しい。現役詩人を取り上げた回ならではの楽しみだ。

 ところで、印象に残ったことを少し記しておこう。紹介された詩を読み合う中で印象に残り、今も残っている言葉がある。それは「ぼんやり」ということばだ。「長生き」と「進化」という詩に出ていたことばだ。ごくふつうのことばで綴られた西尾さんの詩。朗読する時も、自然とスピードが遅くなっていくような柔らかさ。その中で使われる「ぼんやり」。しかし、西尾さんの目は決して「ぼんやり」してはいない。傍からは「ぼんやり」と見える中に、そうではないものがしっかりとあるように感じている。あえて「ぼんやり」と言うことで、そこに込められたものの重さを感じさせられている。

 もう一つ印象に残っているのは、新詩集『耳の人』の造りだ。その特徴は、印刷されている文字の小ささだ。一文字一文字の幅は2mmに満たない。それが行間もたっぷりとられ、ゆったりと配されている。行開けなのか、行間なのか迷うほどだ。決して「ぼんやり」とは読めない。一つのストーリーを形作るように配された24篇の詩。この詩の声をしっかりとあなたの耳で聞いてくださいと語りかけられているようだった。

 西尾さんの詩には、今を生きる人へのメッセージがあるというようなことをPippoさんが言われたいたが、まさにその通りと思う。柔らかくも硬質な詩を読んだ感覚が今も残っている。Pippoさんが西尾さんの紹介の中で「ブレイク寸前」言っていたが、その可能性大とも感じた。奈良に住み、国語教師をしながら、詩を発信し続けている西尾さん。この方の詩をこれからも読み続けていきたいと、ポエカフェから1週間以上経った今も思える。

 西尾さんの活動は、ご自身のブログ「粥彦」で見ることができる(こちら)。朗読会等の活動も案内されているので、ご覧いただけたらと思う。

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