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2014年6月

「ほんの端っこだけでも」 ポエトリーカフェ参加の記 第5期の1(与謝野晶子)

 8日前の6月22日の夕方。久しぶりのワクワク感とともに神田ぶらじるへ向かった。Pippoさん主催のポエカフェ第5期第1回がいよいよ開催される。第4期の最終回が3月30日だったから、2ヶ月近く間があいたことになる。2009年の第1回から通算で第59回目のポエカフェ。この59という数字に、素直に「すごい!」と思わざるをえない。のべ参加人数も900人位とか!継続は力とも言いますが、ほんとうにすごい!

 今回も初めての方が何人もいらっしゃる一方、第1回に参加されていた方もおられる。しばらくぶりの方、リピーターの方、気がつけば、そんな区別なしに盛り上がっているポエカフェ。初めて会った方とも、いつのまにか課題詩人を間に話し込むなんてことも起こる。考えてみれば、ちょっと不思議な会。今回も、その不思議な会の魅力に惹かれての参加です。

 今回の課題詩人は与謝野晶子。これまで取り上げられてきた詩人・歌人の中でもっともメジャーな一人でしょう。聞けば、作った短歌の数は5万首になるという。短歌の他にも有名な「君死にたまふことなかれ」をはじめとする詩がある。そのメジャー性のゆえにか、なぜか今まであまり読んで来なかった。今回のポエカフェをきっかけに、少しでも近づけたらと思いつつの参加です。実は、鉄幹の新詩社で晶子とともに注目されていた女性歌人の一人、山川登美子を題材にした『白百合の崖(きし)』(津村節子著)を読んでいたので、そこからうかがわれる風景から先に近づいていたこともあり、作品とともに、一人の女性としての晶子への興味もあった。

 会は、参加者の自己紹介ではじまり、Pippoさんによる晶子の生涯と作品の紹介、その間に「朗読くじ」であたった作品を参加者が朗読するという、恒例のスタイルで進んでいく。今回は短歌が主なので、くじであたった3~6首位の中から2首を選んでの朗読だ。この2首を選ぶと言うのがなかなかに難しいし、面白い。選ぶ基準は、一人一人違う。そこから自分には見えないものも見えてくる。

 わたしにあたったのは『舞姫』『夢の華』からの5首。そこからえらんだのは「恋はるとやすまじきものの物懲りにみだれはててし髪にやはあらぬ」と「おそろしき恋ざめごころ何を見るわが眼とらへむ牢舎は無きや」。初期の熱い恋心の歌からは、また別のすこしさめたころの歌といわれる。恋のさめゆく哀しさ以外のものを感じながらの選択だった。

 作品への直接的な感想とは別に、話題になったのは鉄幹と晶子の立場が逆転してからの鉄幹の駄目さ加減と、その鉄幹をそれでも捨てない晶子の姿。捨てないどころか、鉄幹のヨーロッパ遊学の費用を集めたり、鉄幹を追いかけてシベリア鉄道でヨーロッパへ行ってしまう晶子の熱い思い。子だくさんの中、経済的にも必死で一家を支え続けた晶子の姿には、ものすごいものを感じる。

 今回は短歌が主体だったので、詩はあまり多く取り上げられなかっtが、予習がてら講談社版の全集第十巻に収録されている「幻想と風景」を読んでいたとき、そのいくつかの詩から、明るさへと向かおうとする強い意志を感じたことを思いだす。光、生きることへの強い意志とも言えるだろうかなどとも思う。

 平塚らいてふ・青鞜とのつながり、源氏物語の口語訳等の作品に傾けた情熱など、晶子の生涯を概観するだけでも興味をひかれる事柄はあまりにも多い。Pippoさんの渾身の年表も、2ページに渡る長さ。新しい全集も刊行の準備がなされているという。

 

 会が終わる頃には、参加された皆さんと、もっともとお晶子について話したいという思いが膨らんでいた。なにせ5万首の作家。そのほんのはじっこだけを味わった今回。まだその余韻は続いている。そして、もし、晶子が今の日本に生きていたら、どのように歌うのだろうかという思いも湧いてきている。

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