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「行乞の中から」 ポエトリーカフェ参加の記 第5期の4(種田山頭火)

9/21に開催されたPippoさん主催のポエカフェで取り上げられたのは、種田山頭火。前回の尾崎放哉と並ぶ自由律俳句の代表選手だ。会場に入る前、時間が少しあったので近くの書店に入ったら、山頭火の句集や関連本が面陳で棚に並んでいる。棚には、いくつか句も張られていた。今も、このようにプッシュされる山頭火。図書館で検索しても、放哉にくらべ、はるかに多くの資料がヒットする。埋もれていないようだ。

 会場は「神田・伯剌西爾(ぶらじる)」。恒例となったポエカフェ特製フード、今回も店長さんが山頭火の故郷、防府から「ういろうロールケーキ」を取り寄せてくださった。注文を取ると参加者全員が手を上げる。私も珈琲とともに美味しくいただき、ポエカフェの楽しみの一つを堪能する。

 例によって、自己紹介からスタート。お題は「山頭火とわたし」。わたしの頭に浮かぶのは、20歳ののころに読んだ少年誌掲載の劇画。参加前に気になって調べたら、作者は旭丘光志。少年マガジンに4回の短期連載の作品だった。あの頃、山頭火がけっこう取り上げられていたような記憶がある。その流れで、劇画にもなったのだろうか。行乞の姿が描かれていたのが印象に残っている。とは言っても、それ以降、放哉に比べ山頭火はあまり読んで来なかったので、これを機会に、しっかり読んで見ようと思いつつの参加であった。

 あらためて思うのは、お題があることで、初めての方だけでなく、自己紹介の時間も楽しい時間となっていること。顔なじみの方の新しい面を知ることができたり、課題詩人がどのように受けとめられているかも、それとなく浮かび上がってくるからだ。自己紹介の間に、参加者同士のやりとりが生まれることもあり、それも会を和やかなものにしてくれる。

 年譜とともに配布された資料には200に及ぶ句が並んでいる。朗読くじにも10句ほどが並んでいる。その中から2句選んでの朗読。選ぶのがなかなか難しい。わたしが当たったのは昭和6年の作。まず選んだのが「いつまでも旅することの爪を切る」さらに「詫手紙かいてさうして風呂へゆく」。前者は、すぐに決まった。「ことの」に心がとまる。後者では「詫手紙」と「風呂」の結びつきから広がる山頭火の日常に思いをはせた。

 くじで当たった中から選んでいくというのは、けっこうドキドキするものだ。選ぶことで、よりしっかりと作品と向き合えるのだが、それは自分と向き合うことにもなるからだろう。でも、このドキドキがまた楽しい。そこで世界が広がっていく。参加者の一人一人が選んだ句を、そのときの感想を思い出しながら後から見返すのも、ポエカフェ後の楽しみ。

 それにしても、自由律俳句の代表選手としての山頭火と放哉。どうしても比べながらよんでしまう。留まる放哉に対し、行乞を続けた山頭火。ときに庵を結んでも、長く留まることのできない山頭火。行乞しなければ生きられないかのように歩き続けた山頭火。僧形をとりながら、既成の修行コースを踏むことなく、自らの道を歩み続けた山頭火。それでいて、行き先々で層雲のメンバーを訪れる時に見せる、その時間を楽しむ姿。酒で問題を起こす山頭火。訪問先への便りを送るに筆まめな山頭火。そのような日々の中から生み出されて行く、数々の句。その一つ一つから、山頭火の心のありようを読む者は垣間みる。

 放哉、山頭火、ともに弧の世界に行きた人といえるだろう。しかし、今回あらためて感じているのは、二人の世界の近いようで異なること。放哉に比べ、山頭火がとても饒舌に感じるのだ。決してことばが多いのではないし、うるさいのでもない。しかし、山頭火の句を読んでいくとき、なぜかそう感じる。弧の世界から外に向かって歌っているようだというと、少し違うかもしれないが…。この感覚、今もうまく言い表せない。山頭火が多くの人に愛され続けることとも、もしかしたら関係があるのかとも考えてしまう。自由律の世界にあふれる魅力。どうもうまくまとまらないのだが、しばし、山頭火と放哉、読み比べながらの付き合いになりそうだ。

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