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「風に包まれて」 ポエトリーカフェ参加の記 第5期の6(秋の秩父遠足篇 2014)

 11月22日(土)に行われたポエカフェ秩父篇。今年で3回目と、ポエカフェ秋の恒例行事となっているようですが、過去2回参加できず、念願かなって参加して来ました。もちろん、本編の前に行われる秩父散歩からの参加です。各駅停車で風景を楽しみつつ、かつては私鉄のトンネルとしては日本一の長さだった正丸トンネルを抜けて行きます。集合時間の13時より早めに西武秩父駅に到着。秩父そばで、簡単な昼食をとってから、参加者の到着を待ちながら駅前をぶらぶら。

 集合時刻には、無事全員が到着し、本編の会場となる武甲書店の坂本さんの案内で散策に出発です(当日の写真がPippoさんのサイトにUPされています)。町中から羊山公園を巡ります。羊山公園を登る途中では、これも恒例となっている「もみ男」M君が紅葉の前に立っての撮影会です。和やかに、三々五々、はぐれない程度にゆるく進みます。心地よい晩秋の空気に中、紅葉ごしの光も美しく、時間がゆったりと過ぎて行きます。いったん、武甲書店に戻り、希望者は近所の街に残る古い建物等を見学に出ます。ゆっくり歩きながら、参加者の皆さんとかわすなにげないことばも、散歩の一部です。

 さて本編、テーマは「風」ですが、ポエカフェとしては珍しく課題図書がありました。宮沢賢治の『風の又三郎』です。用意された資料にも、抜粋が3ページにわたり、ぎっしりとプリントされています。おなじみの朗読くじもあります。『風の又三郎』の朗読に当たった方々の感想や、そこから引き出される皆さんの発言に聞き入っていました。今回の参加に当たって、あらためて読み直しましたが、作品としてとても魅力的に感じる一方、その世界から宮沢賢治が語りかけてくるものを聞き取るのには、いろいろなことを考えさせられる作品と感じていました。それだけに、いろいろな視点からの皆さんの声、とても興味深かったのです。それにしても、冒頭の「どっどど どどうど どどうど どどう」の一行のインパクトの強さは、すごいものがあります。この音を聞いた後の子どもたちは、聞く前と変わったのでしょうか。

 後半は「風」をテーマにさまざまな詩人の詩がピックアップされています。新旧10名以上の詩人が並びます。朗読くじであたったのは中原中也「宿酔(ふつかよい)」です。「朝、鈍い日が照ってて/風がある/千の天使が/バスケットボールする。//私は目をつむる。/かなしい酔いだ。/もう不用になったストーヴが/白っぽく銹びている//朝、鈍い日が照ってて/風がある/千の天使が/バスケットボールする。」最初の一連目と終わりの三連目は同じことばです。繰り返されることで、中也の抱えている世界がより増幅されるように感じます。

 わたしの大好きな八木重吉からも一篇とられていました。詩集『秋の瞳』にある『沼と風』という詩です。「おもたい沼ですよ/しづかなかぜ ですよ」という、とっても短いもの。(定本では4行になっています。)Pippoさん、よくこれを取り上げてくださったと大感激していました。このところ、重吉の詩をあらためて読み返していた中で、かなり心にとまっていた詩でした。残念ながらくじであたりはしませんでしたが、Pippoさんから指名されて、発言することになりました。解釈の広がりはあると思いますが、今回はクリスチャンであった重吉の背景から可能と思われる解釈を少しだけお話ししました。この詩に関しては、ポエカフェ後のツイッターで、すばらし解釈を示してくださった方がありました。こんな広がりがあるのもポエカフェの醍醐味です。

 重吉について長くなってしまいましたが、資料にある詩、それぞれが興味を惹かれるものばかりです。「風」というテーマのもと選ばれた詩をかこんで皆さんの声が、会場を満たして行く、そんな時間でした。「どっどど どどうど どどうど どどう」の音は、音色を様々に変えつつ、会場に吹いていたのかも知れないなどとも思う。

 本編のあとは、武甲書店の坂本さんご夫妻が準備してくださったバイキングです。秩父特産の野菜を中心のメニューです。その中でも「えびし」という秩父の伝統料理は岩手県の盛岡、花巻ちほうに似た料理があるとのこと。宮沢賢治とつながるメニューでもあるのです。6つのメニュー、いずれも美味しくいただきました。野菜中心で、やさしい味に身体も休まるようでした。

 来年の秩父篇、はやくも楽しみになっています。

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