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「モラリストの声を聞く」 ポエトリーカフェ参加の記 第5期の7(ケストナー篇)

 すでに、3月のポエカフェ・リルケ篇の募集も始まり、かなり早いペースで申し込みがあるようです。遅くなりましたが、2月のポエカフェの参加記を記しておきます。

 Pippoさん主催のポエカフェ、12月、1月と2回参加できず、どこかに忘れ物をしているような、3ヶ月を過ごしていました。参加できなかった回も、自分なりに、課題詩人の詩は読み進めてはいるのですが、やはり会場での皆さんの様々な声を聞く中で広がっていく世界が、とても大きな意味をもっていること、あらためて感じていました。しばらくぶりの参加となった、2月22日に開催されたポエカフェ。連れ合いのアンジーと一緒に、わくわくしながら会場の神田ぶらじるさんへと向かいました。

 今回の課題詩人は、ケストナー。日本ではおそらく『飛ぶ教室』や『エミールと探偵たち』などの児童向けの作品が知られている作家でしょう。ところが昨年11月には今回の課題本となった『人生処方詩集』が岩波文庫で出されたり、大人向けの諷刺小節『ファビアン』の新訳がみすず書房から刊行されたり、ケストナーに何かが起きてる?と思わせるこの頃。今の日本で読まれるべきと判断した人々がいるということでしょうか。

 さて、いつもは日本の近代詩人を取り上げて来たポエカフェ、今回はドイツのケストナー。そのせいもあってか?なくてか?新しい方が多くおられました。やっと日程の都合がついて参加できた方もおられました。その一方、第1回に参加されていたMさんも参加。広がりと積み重ねをあらためて感じます。

 まずは、自己紹介の時間ですが、その間に、ぶらじるさんが用意してくださるポエカフェフードを注文。今回の特製フードはシュトーレン。ドイツのお菓子です。12月にも供されたのでしたが、参加できなかった私にとっては、うれしいプレゼントでした。もちろん美味。ポエカフェフードはポエカフェの一部です!

 ケストナーの年譜とともに17篇の詩が紹介され、いつものように朗読くじで当たった詩を皆で朗読して行きます。短い詩が少なく、中には二人で分けて読む例も。初めての方の朗読も新鮮で、やはりポエカフェの大きな楽しみと感じます。わたしが当たったのは『あるシャンソン歌手の広告』。くじを見たとたん、うわっ!と思いました。予習で読んでいる中で、気になっていた詩の一つですが、これを朗読するとしたら、難しいなと感じていた一篇です。一連目は以下のようになっています。(小松太郎訳)「彼女は非常な美人というのではありません しかしそれはたいしたことではありません/美人でなくとも 心配はご無用/彼女は女 そして仕事は100パーセント/それにあの方もとてもすてきです」ここだけでも、どんな声で読んだらいいのか悩みます。特に最後の行!

 全部で5連からなるこの詩の最後は「彼女はわれわれと同じくらい正確に/われわれの痛いところを知っています/そして彼女はそんな唄をかなりたくさん知っています/そのうち二つ三つを彼女は当店で唄います」となっています。

 だれでも感じているような人生の機微。とくに「痛いところ」を知り、それを否定しないケストナー。特別な位置に立とうとするのでなく、その中でどう生きるかを自らをも含めて問い続けるケストナーの声を聴くような気がしました。

 自己紹介のの時、何人かの方が触れていた『ファビアン』。実は、課題詩集を読みながら、『ファビアン』も気になり、直前に読了していたのです。非常に、興味深い作品で、詩集といっしょに読んで良かったと思っていたところでした。ケストナーの詩の背後にある世界が小節の形で展開されているように思います。

 『ファビアン』には「あるモラリストの物語」という副題がついています。モラリストは、道徳的に立派な人間ではなく、生き方を真摯に求める人のことと理解しています。現実の大金痛みの前に絶望しそうになりながらも、日々を生きていかざるをえない一人一人に向けられた、仲間としての声なのかなと、ケストナーの作品を読んでいます。

 児童ものと、この世界のつながりもきにかかるところです。子どもの頃、ケストナーのものは読んで来なかった者ですが、あらためて読んで見たいと思っています。

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