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「格言は好きですか?」 ポエトリーカフェ参加の記 第5期の8(ゲーテ篇)

 4/19に開催されたポエカフェ、今回の課題詩人は、ゲーテ。ケストナー、リルケに続くドイツ詩人シリーズの3人目です。しかも、今回の課題図書は「ゲーテ格言集」(高橋健二編訳・新潮文庫)と、詩集ではないのです。日本の近代詩人が大半のポエカフェから見ると、かなり異色です。どんな回になるのか、いつもとちょっと違ったワクワクといっしょに、会場の神田伯剌西爾さんへ向かいます。そういえば、今回の詩人にちなんだおやつは、神戸ユーハイムのリンゴ入りのバウムクーヘンとか。これも食べ逃すわけにはいきません。

 課題詩人のゲーテですが、当日配布された資料には「詩人・戯曲家・小説家・自然科学研究・政治家」と肩書きが並んでいます。これを見るだけでも、現代人にはとうてい考えられない仕事の幅です。日本にも早くから紹介されていたようですが、初期にはドイツ語の名前をどう表記するか定まらない時期もあったといいます。ゲーテ記念館のQ&Aによれば、45通りの表記があるとのこと。それだけ多くの人によって紹介されたということでしょうか。

 資料2枚を埋め尽くす年譜が、びっちりと書き込まれています。これをおっかけるだけでもたいへんな分量です。ふと気がつくと、途中には星印がいくつもつけられています。いずれも女性の名前のところ。ゲーテが恋心を抱いた女性の名前です。その多さに、かなりの突っ込みもありました!それにしても、晩年まで精力的に仕事を続けたことがわかります。代表作の一つ『ファウスト』が完成したのは、なんと82歳。しかし、翌年陥の日記には「ファウストについての新しい興奮、一応完成させるために簡略に扱いすぎた。~」と記されていると資料にあるのです…。

 ポエカフェ本編に入る前の自己紹介タイムも恒例ですが、その時、衝撃の発言が。お題が「私とゲーテ、あるいはゲーテにかぎらず好きな諺や格言あれば教えてください」だったのですが、それに対して「格言とか諺... とか会話におりまぜてくる人がまず好きじゃない」。PippoさんもTwitterで紹介されているのでここに書いてしまいましたが、今回のポエカフェいちばんの発言かもしれません。こんなこと言えてしまうポエカフェの空気が、これまた良いのです。

 配布されたテキスト資料は課題図書からの抜粋分が2枚と、戯曲や小説の紹介が1枚です。この紹介資料が、なかなかの力作です。これを見ているうちに、いくつか読みたくなってきます。じつは、これまで、歴史的な人物として、その生涯や活動を調べたことはありましたが、実際に作品を読むことは、教科書レベルを出ていませんでした。若い頃には、正直、あまり魅力を感じていなかったのです。敬して遠ざけるといった、感覚だったように思います。でも、還暦を過ぎたこの年齢になって、あらためて読んでみようかと思い始めていた矢先の、今回のポエカフェ、とても刺激になりました。

 課題図書の『ゲーテ格言集』は、もともと格言として書かれたものだけでなく、ゲーテのすべての著作から選ばれたものです。Pippoさんは、その中から、年代別に網羅できるように選んでくださっていました。その中から、くじを引いてあたったテキストを読み、発言するのはいつもと同じです。

 みなさんの発言を聴きながら、いろいろ思いを巡らします。このような格言的な断定的な言い方に、違和感を感じられる方もおられるようです。このような格言的表現が、今のわたしたちの周りにあまりないせいかもしれないなとも考えながら進みます。使う方がいたとしても、先の発言ではないですが、使い方によっては、拒否感さえ与えるかもしれないなとも。そんな中で、印象に残った発言がありました。それは、「ことばに対して、それ以上でもそれ以下でもない。それはすごいことでは」といった趣旨のものでした。

 思索を重ねていく中で、核となる部分だけが短く提示されているのでしょうか。そのような形で出せることへの驚きとともに。それが受け入れられ、評価された時代だったのかとも思います。ゲーテの中に、人間の現実への嘆きと、向上への希望が同時に存在しているようにも思います。それは、教養への信頼とも言えるかもしれないなとも感じつつ聞いていました。

 最後にわたしがくじで当たって読んだものを紹介します。『ファウスト』の《第一部》から「君はただ一つの衝動しか意識していない。/もう一つのをいつまでも知らずにおかせたい!/二つの魂が、ああ、わたしの胸には宿っている。/それが互いに離れたがっている。/一つはたくましい愛欲にかられ、/からみつく器官で現世に執着する。/も一の方は無理やり塵の世を離れて/高い先祖の霊界に登る。」でした。ここにも、ゲーテの人間観の一端がでているように感じながら読みました。

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