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「時代を越えて」 ポエトリーカフェ参加の記 第7期の4 (吉原幸子リターンズ篇)

 通常は、月1回のポエカフェですが、今回は熱烈なリクエストがあったようで、1/22に開催された吉原幸子篇のリターンズが、早くも2/11に開催されました。本編の吉原幸子篇の時、取り上げる詩人投票で吉原幸子さんに一票を入れた身としては参加しないわけにはいきません。しかも、前回終了後、連れ合いのアンジーに、「よかった、よかった」を連発していたものですから、アンジーもリターンズには何が何でもの意気込みでの参加となりました。

 いつもと違い、土曜日の昼間の開催。神田伯剌西爾さん界隈も日曜の夜とはまったく違った雰囲気です。伯剌西爾さんの店内、いつもとは違うスペースをお借りしての開催です。ちょっと狭いけど、参加者の皆さんの声がよく聞こえ、親密度も増すような感じで、これもまた良しです。膝を付き合わすような狭い会場で開催したこともある初期の頃のポエカフェを思い出したりもしていました。

 さて、今回も吉原さんのご子息・純さんが参加してくださり、参加する身としては、感謝感謝です。

配布された資料、年表は同じですが、詩は六篇が新しくされていました。ポエカフェ初参加の方も含め、恒例の自己紹介から会は始まります。Pippoさん以外13名の自己紹介なのですが、おそらくポエカフェ史上でも、一番時間をとった会の一つとなりました。でも、それが飽きないから不思議な空間です。ここに入ると、何かが引き出されてくるのでしょうか。

 会自体はいつも通りに年譜で生涯を振り返りながら、朗読くじで当たった作品を朗読・感想という形で進みます。年譜の紹介中、純さんが適宜面白いコメントを挟んでくださいます。前回聞いたこともあるはずですが、純さんの幸子さんへの想いが込められたコメントに、時には笑いもありで、引き込まれていきます。こんな機会、90回以上開催されたポエカフェでも、滅多にあることでは、ありません。改めて、これだけでも幸せな時間でした。更に、お持ちいただいた写真や資料がすごすぎます!大きく引き伸ばしてお持ちいただ写真の幸子さんのカッコイイこと!これを見られただけでも参加してよかった!!このあたりのこと、今回も古書ますく堂さんのブログを是非ご覧ください。

 今回の朗読くじで当たったのは、『魚たち・犬たち・少女たち』より、「死ぬ母 ― さらばアフリカ」でした。ご子息の話では、『昼顔』の「街」が転機となっており、これはそれ以後の作品となります。たしかに作風の変化を感じます。「わたしを殺したのなら/わたしをたべてください/いちばんおそろしい猛獣たち にんげんよ」で始まるこの詩。角を取られ、砂の上で朽ちていく母が捕らわれ檻の中にいる息子のことを思う歌という体裁です。諄々と語られる思い。「です・ます」調で綴られる言葉の中、1箇所だけ「それが礼儀だ」と強い言葉が突然現れます。

 この詩を朗読する中で、改めてこの「それが礼儀だ」に込められた怒りとも悲しみ共言える感情が強く迫ってきました。朗読中、この箇所に差し掛かった時、一瞬、ひるみました。どんなに読もうとも、この言葉にかなわないと。

 『幼年連禱』の中の「IX 空襲」も心に残りました。それは「人が死ぬのに/空は あんなに美しくてもよかったのだろうか」と始まり「戦いは/あんなに美しくてもよかったのだろうか」と閉じられます。東京大空襲が背景にあるようです。この最初と最後に挟まれた部分では、「あんな大きな夕焼け」「反射の ぜいたくな 幻燈(スクリーン)」「どこからか さんさんと降りそそぐ 金いろの雨」といった表現があります。

 焼夷弾が降りそそぐ下では、地獄絵図が繰り広げられています。しかし、遠くから見るなら、さまざまな光と色の共演しか見えません。幸子さんは、その「美しい」光景の下で何が起っているかを知っていたはずです。だからこそ、その前後を「美しくてもよかったのだろうか」と挟んでいるのでしょう。「美しくても」の「も」が残ります。この詩に時代を越えた普遍性を感じます。

 この詩だけでなく、生きること、死ぬことに向き合い続けた幸子さんの、それでいて、しんが揺らぐことがないゆえの普遍性を改めて強く感じ、もっともっと、読み継がれていってほしいと思いが残るポエカフェでした。

さあ、次は26日の石垣りん篇です。待ち遠しい!

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