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2017年9月

「生きることへの眼差しに惹きつけられて」 ポエトリーカフェ参加の記 第8期の1(ジャック・プレヴェール篇)

 通算100回も目前になってきたポエカフェ。今回の課題詩人はポエカフェ史上初のフランスの詩人ジャック・プレヴェールです。どんな世界が見えて来るのか、期待が膨らんでくる中、9/17当日を迎えましたが、なんと台風です。しかし、ポエカフェは台風などには負けないのです。第1期の最終回2010年10月の萩原朔太郎の回も台風でした。今回より激しい風雨の中、Pippoさんの心配をよそにぞくぞく集合したことを思い出しながらの参加でした。今回も台風を蹴散らし15人の参加です。しかも初めての方もいらっしゃいます!

 プレヴェールはシャンソンの「枯葉」や、映画の「天井桟敷の人々」の脚本を書いた作家として、私などの世代には馴染み深い人ですが、今はどの程度知られているのでしょう?タイミングよく、『プレヴェール詩集(小笠原豊樹訳)』(岩波文庫)も出版されましたが、駒込の「青いカバ」さんは、なんと100冊仕入れて売りきったとのこと。すごいです。当日集まった方々も、かなりの方が青いカバさんで購入されていました。(私も)

 さて、プレヴェールですが、生涯に関しては今回もますく堂さんがブログでうまくまとめてくださっていますので、是非ご覧ください。配布された資料には「枯葉」の歌詞も含めて20篇が収録されています。そのうちいくつかは小笠原訳の他に大岡信訳や、北川冬彦訳も併せて掲載されています。自己紹介しながらの朗読くじも長短ある中で、交換もありです。

 詩人プレヴェールとの意識的な出会いは、他にも言及されいる方がおられましたが、Pippoさんが出していた朗読音源「てふてふ2」に入っていた「カタツムリさん葬式へ行く」(大岡訳)でした。今回も、小笠原訳とともに紹介されていましたが、Pippoさんの朗読の声が今も響いています。それ以来、気になる詩人の一人でした。大岡訳に挿絵のついた「やさしい鳥」(偕成社)が手に入ったので、気が向いた時に開いていました。

 今回、岩波文庫で読み、ポエカフェに参加する中、プレヴェールの眼差しに惹きつけられています。決して難しい言葉は出てこないのに、その結びつきの不思議さ。発想の自由さとでも言ったら良いのでしょうか。心に訴える力が大きいのに、掴みきれない広さを感じています。そして、生きることの中で出会う悲しさをうたっていても、悲しさの中に閉じこもらない世界を感じます。

 生きていく中での不条理とも言えることも、こどもに語ろうとしているようです。アンジーが朗読した「こどものための冬の歌」にそれを感じます。暖炉で暖まりあっという間に失くなる大きな雪だるま。最後の4行が残ります。「残ったのはパイプだけ/水たまりのまんなかに/残ったのはパイプだけ/それから古い帽子だけ。」不思議な読後感が残ります。

 私が朗読したのは「バルバラ」でした。今回最も長い詩でした。どう読んだらいいのか、悩みました。まずは噛まずにと思ったのですが、三回噛んじゃいました。曲がついてイヴ・モンタンが歌っています。静かなメロディーにのせて語るように歌うモンタンです。参加者のお一人が、プレヴェール本人の朗読があると教えてくださいました。淡々とした朗読ということでした。たしかに、この詩は、その方が染み入ってくるのでしょう。街で見かけた男女の姿から戦争の悲しさへと進む詩は、下手な感情を乗せたら詩を台無しにしてしまうと読んでみて感じました。

 不条理をもたらすものへの厳しい目を感じます。生涯の資料の中にあった童話集「よくない子のためのおはなし」が、とても気になっていました。「おりこうでない子どもたちのための8つのおはなし」という題になって出版されているものが、図書館にありました。挿絵は原書のままのようです。岩波文庫の詩集にも5篇が収録されているのですが、やはり挿絵のあるなしの差は大きいのです。こどもに与えたい本です。人間の愚かさがそのまま描かれ差し出されています。プレヴェールの童話や絵本がとても気になっています。『つきのオペラ』が隣市の図書館にありましたので借りてきました。これも気に入っています。

 参加者のお一人が原著を持ってきてくださり、フランス語からの説明も加えてくださったことも、ありがたいことでした。フランス語、きちんとやっとけばよかっと思うことしきりでした。それほど、プレヴェールに惹きつけられているのかもしれません。

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