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「西尾さんの術中に」 ポエトリーカフェ参加の記 第8期の3(西尾勝彦篇)

 1月21日に開催されたポエカフェ第102回で取り上げられたのは、西尾勝彦さん。1972年生まれの現役の詩人です。ポエカフェで現役の詩人が取り上げられることは少ないのですが、西尾さんはなんと3回目です。2014年2月11日の奈良での出張ポエカフェで取り上げられ、そこでの好評を受け2月22日には東京での定例ポエカフェでも取り上げられました。

 そして今回の3回目となるのですが、これまでの2回に参加された方が2名、今回も参加されています。私は奈良の回には参加できませんでしたが、2回目の参加です。(その時のブログはこちら)今回の告知がPippoさんからあった時、西尾さんの詩を囲んで参加者の方々と話せる機会がもう一度あるのだと思うと、それだけで心踊るものがありました。

 今回の年譜は西尾さん自筆(ほんの少しだけPippoさんが加筆)のものです。前回もそうだったのですが、2014年のポエカフェ以降のことが加えられています。この年譜については、今回も古書ますく堂さんがブログにまとめてくださっていますので、是非ご覧ください。

 35歳で詩を書き始め、奈良の緑豊かな場所から作品を生み出し続ける西尾さん。年譜をみながら参加者で朗読し、話し合う中、いつの間にか西尾さん色にゆったりと、しかし、しっかりと包まれていたように今も感じています。西尾さんは2017年には「のほほん社」を設立されています。「いそがしい社会の人びとにのほほんをお届けするために誕生しました。出版を通じてのほほんを広めてゆきたい」(設立の弁)という西尾さんの目的はポエカフェの会場でも達せられていたようです。

 朗読くじで当たったのは『耳の人』から「路地」でした。じつは最初にくじを引いた時に当たったのは別の詩だったのですが、交換してもらいました。前回紹介された『耳の人』が好きだったので、わがままを言いました。24篇の詩からなる詩集ですが、全体で一つの世界へと連れていってくれるような詩集です。不思議な「耳の人」。この詩について感想を言うことは、何かを落としていきそうな感じがして仕方ありません。でもしっかりと心に残っていくのです。

 資料にはこの詩に続いて「青」も記載されていました。その詩は「このあたりでは/ときどき/青が降る」と始まります。これだけで、別世界に連れて行かれそうです。でもその世界は、遠いものではないよとも、語りかけてくれているようにも感じます。『耳の人』の世界から聞こえてくる声をしっかりと聴いてくださいと、言われているようです。

 でも「言の森』の「意味論」には「意味から逃れる意味は/きっと/あるはずだ」ともあるのです。どうやら聞き方にも注意が必要なようです。こんなことを書いていることが、西尾さんの世界から遠ざかっているようにさえ思えてきます。そう思うことも西尾さんの「のほほん」の効果かもしれません。

 西尾さんの最新詩集『光ったり眠ったりしているものたち』を会場でますく堂さんから購入しました。あれから、3回読んでいます。詩に寄り添うイラストを含め、気持ちよく「のほほん」と読みたくなる詩集です。でも、油断はならないのです、西尾さんの「のほほん」は、柔らかいだけではないのです。時にしっかりと「光る」のです。「扇風機同盟』の「つくづく/ 下には上がいるなあ と/思ったのだった」が印象に残っています。そう、『耳の人 のつづき』の「ひとり旅のひとり言」にも「下には/上がいるねえ」とあるのです。耳の人の言葉として書かれています。西尾さん、耳の人の境地になっていらっしゃるのかもしれません。

 そうそう、今回参加できなかった連れ合いのアンジーにこの詩集から何篇か見せました。行けなかったことをとても残念がっていましたが、「言祝ぎ」を見せたところ、幼児の言葉として、とても分かるといういう感想がありました。そして、「ダンゴムシは/だんぎ/しめじも/だんぎ/きゃりーぱみゅぱみゅも/だんぎ」の箇所をどう解釈するか、夫婦で話し合い中です。

 最後に、もう1篇、とてもドキッとした詩があります。「無意識(たましい)」です。ますく堂さんのブログでも紹介されていますが、わたしにとって、とても大切なことを考えさせてくれる詩になりそうです。無意識をたましいと読ませ、「きみの/無意識は/頭を/あざやかに/裏切っている」と書かれたら、大哲学者も退散しそうです。

 西尾さんからの冊子のプレゼントまであったポエカフェ西尾勝彦篇。私のところではまだ続いています。西尾さんの術中にハマったのかもしれません。

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