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「アンソロジーの宴」 ポエトリーカフェ参加の記 第8期の9(秋・冬篇)

 10月28日に開催されたポエカフェは一人の詩人を取り上げるのではなく、《秋》と《冬》にちなんだ詩を集めてのアンソロジーの回でした。会場もいつもの神田伯剌西爾さんではなく、東武東上線下赤塚駅前の山小屋風喫茶店「ヒュッテ」さん。基本的に月一回の歌声喫茶イベントと火曜日午後の短い時間のみの営業とのことですが、なんとも素敵なお店でした。黒澤監督の映画の美術に関わっていた方の設計とのこと。もし近くにあって普通に営業なさっていたら入り浸りそうなお店です。ポエカフェ常連のMさんの紹介とのこと。Mさん、ありがとうございます!

 さて、Pippoさんが絞るのに苦労したと言われた資料には、《秋》に26人(うち海外5人)、《冬》29人(うち海外12人)という多さです(18ページ!)。朗読くじで朗読された詩人は全部で20人。読まれなかった詩人の方がはるかに多いという結果になりましたが、この資料、秋と冬にちなんだ詩の資料として得難いものとなっていると思います。これまでのポエカフェで取り上げられた詩人だけでなく、現代の詩人まで網羅されているのですから。朗読くじで読まれたのは秋から9篇、冬から11篇と良いバランスだったと思います。。Pippoさんのくじの作り方がよかったのでしょう。その中の詩人の関係者がお二人も参加してくださったことも、嬉しいことでした。吉原幸子さんのご子息と田中冬二さんのお孫さんです。ポエカフェの広がりの力でしょうか。

 

 それでは朗読された詩人たちのお名前だけでも紹介しましょう。資料の掲載順です。高橋元吉、八木重吉、佐藤春夫、草野心平、岸田衿子、高良留美子、矢沢宰、ゲーテ、エミリ・ディキンスン(ここまでが秋篇)、田中冬二、竹中郁、伊藤整、中原中也、石垣りん、吉原幸子、シュトルム、マヤコーフスキー、ウンガレッティ、ロラン・バルト、パウル・ツェラン(以上冬篇)。

 ほんとうに多彩です。一つのくじには何人かの詩人があげられているので、朗読者の選択で読まれる詩人が決まります。朗読された皆さんの感想も色とりどりで、ハッとしたり頷いたり、今回のようなアンソロジーの回の面白さを堪能する機会となりました。楽しさの中、豊かな詩の宴はあっという間に過ぎ去って行きました。

 私は八木重吉を朗読しました。最初は別のくじだったのですが、Pippoさんから回ってきました。大好きな八木重吉なのですが、朗読するとなると、これ程難しい詩人も少ないのではと思わされるのが八木重吉です。ちなみに詩は「素朴な琴」です。短いので引用しましょう。「この明るさのなかへ/ひとつの素朴な琴をおけば/秋の美しさに耐えかね/琴はしずかに鳴りいだすだろう」八木重吉はこのような琴でありたかったのではと思いつつ朗読しましたがが…。

 朗読された中で印象に残っている詩をいくつかあげておきます。まずは、パウル・ツェランの「入れかわる鍵で」です。最近ツェランの詩を読んでいるのですが、この詩が取り上げられてことは嬉しさと驚きでした。「言葉の雪」という表現に惹きつけられます。ツェランにとっての「言葉」とはと考えさせられます。草野心平の「秋の夜の会話」もあげておきましょう。『第百階級』冒頭の詩ですが、何度読んでも聞いても、心に残ります。もう一つ、矢沢宰の「秋」。「体の透きとおる人をだけ/そおっと淋しくなでるのだ」が沁み入ってきます。伊藤整の「冬の詩」、これはPippoさんの朗読。さすがの朗読です。そして、ウンガレッティ「クリスマス」も。「いいから/放っておいてくれ/片隅に/置き/忘れられた/家具/と同じに」翻訳ですが、この改行のされ方が気にあって仕方がありません。

 どうやら際限がなくなりそうです。朗読されなかった詩人の中で、みなさんの感想を聞いてみたかった詩人もあげておきます。原民喜、滝口雅子、草野天平、吉本隆明、ピエール・ルヴェルディ、こちらも全部あげてしまいそうです…。今回の資料、あまり読んだことのない詩人も含まれていましたので、これを機会に少しずつ読んでいきたいと思っています。

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