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2019年6月

「まだまだ届きません」ポエトリーカフェ参加の記 第9期の4(エミリー・ディキンソン リターンズ篇)

 5/25に開催されたポエカフェは、2/24に開催されたエミリー・ディキンソンのリターンズ篇でした。2月の開催では予約の埋まるのがいつもより早く、参加したかったのに出来なかった方もおられたり、参加したくても時間が合わなかったという方もおられたためのリターンズ篇となりました。いつもは日曜日の夜ですが、今回は土曜日の午前11時からの開催です。会場も、いつもの神田伯剌西爾さんではなく、高円寺の喫茶店「木もれび」さんです。住宅街の中にある普通の住宅を改装したようなお店です。前には遊歩道が通っています。なかなかいい雰囲気のお店です。近ければ、常連になりそうです。

 初めての方もおられれば、遠路はるばる来られた方もおられます。この時間だからこそ来られたという方も。リターンズ篇なればこそかもしれません。もちろん、前回来られた方もわたしを含めて何人もいます。連れ合いのあんじーも、わたしの誘いにのって参加です。

 ディキンソンの生涯についての資料と作品の資料がいつもどりに配られますが、作品は入れ替えがります。こんなところもリターンズの楽しいところです。また、前回は翻訳についても話が広がったので、今回は英語の原文もいっしょに配布されました。会はいつもどおりの自己紹介から始まりますが、前回参加された方の中からも、いまいち親しめないけど、今回は親しめるといいなという声も出ています。それでも参加されるのですから、ディキンソンの詩には、人をひきつけるものがあるのかと思います。同時に、たしかに理解しにくい部分の多いし詩人なのだと、あらためて感じます。

 朗読くじもいつも通りです。今回はどんな感想が聞けるのかなと思っていた矢先、Pippoさんから驚きの発言が!ディキンソンの詩はキリスト教のピューリタンの背景が強くあるのですが、その点については、「ペンギンさんから」と言われてしまいました。前回のなりゆきから、もしかしてと思い簡単な資料は持って行きましたが、こりゃ責任重大と引き締まります。

 生涯を追っていく中で、ディキンソンを取り巻くキリスト教的背景について簡単に説明しましたが、少しはお役にたったでしょうか。キリストは神でないと主張するユニテリアンの影響や、信仰復興運動の影響等、ディキンソンの生き方や詩を考える上では、どうしても無視できないと、今回わたし自身もあらためて感じています。

 翻訳でも分かるのですが、使われている用語や表現にキリスト教的なものが多く見受けられるのです。必ずしも肯定的な使われ方ではなく、ひとひねりされて使われている方が多いでしょう。あんじーが朗読した作品番号249にもそれを強く感じます。「あらしの夜よ あらしの夜よ/あなたとともにいることができれば/あらしの夜も/こよない楽しみ!//港にいる心には/風の力もむなしい/羅針盤も捨て/海図も捨てて//エデンの中を漂う!/ああ海よ/今宵こそいかりをおろすことができたなら/あなたのなかに――」原文は “Wild Nigts―Wild Nights! / Were I with thee /  Wild Nights should be / Our luxury! // Futile ― the Winds ― / To a Heart in port ― / Done with the Compass ― Done with the Chart! // Rowing in Eden ― / Ah, the Sea! / Might I but mor ― Tonight ― / In Thee!”

 あんじー曰く、何曲も賛美歌が思い浮かぶとのこと。たしかにそうなのです。わたしもいくつかの賛美歌がよぎります。ディキンソンの年代に歌われていたものはどれかと探したくなりますが、簡単ではなさそうです。しかし、この詩、恋の詩とも読めるような気がするのですが、いかがでしょうか。ディキンソンは一筋縄では捕まえられそうにありません。

 それにしても、原文を見ると、翻訳が難しいことが想像されます。翻訳者によって、かなりイメージが異なるものがあるのも、そういうところから来ているのでしょう。もっと英語力があればとも思います。ディキンソンの世界により深く入っていけるのにと思うのです。どうやらディキンソンに捕まえられたようです。

 会の最後に全体の感想を言う時間がありましたが、2回目でディキンソンが近くなったように思うという声がありました。背景の説明が少しは役に立ったでしょうか。それでも時代をこえて読まれ続けているディキンソンの魅力の不思議には、まだまだ届きそうにありません。

 

 

 

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