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2019年8月

「南蛮趣味の中で」ポエトリーカフェ参加の記 第9期の5(パンの會篇)

 7月28日に開催されたポエカフェ“パンの會”篇からはや3週間も過ぎてしまいました。夏の暑さのに少し活力の落ちていたペンギンですが、8月31日は“パンの會”のリターンズ篇が開催されることになったこともあり、これ以上、寝てはいられません。遅くなりましたが、7/28日の参加記を書いておきます。

 活力が落ちていたとはいえ、パンの會から受ける楽しさ?は大きく、席上で紹介された『不可思議国の探求者・木下杢太郎 観潮楼歌会の仲間たち』(丸井重孝著・短歌研究社)を読んでおりました。私と連れ合いのあんじー(今回は参加できず、とても残念がっていました)にとって、パンの會といえば木下杢太郎なのです。かつて訪れたことのある、伊東の木下杢太郎記念館での杢太郞との出会いを懐かしく思い出します。

 パンの會の中心人物である木下杢太郎はじめ、パンの會の詩人・歌人たちの作品がぎっしり詰まったPippoさん作成の資料を手に、ポエカフェは始まります。2012年に開かれたパンの會篇の時にも参加してくださった、北方人さんが今回も参加してくださいました。パンの會に参加していた木版彫刻師の伊上凡骨やドイツ人フィリップ・ルンプの研究家北方人です。今回はルンプに関するお話とともに、ご自身も執筆なさっている研究書を紹介してくださいました。

 パンの會に参加していた詩人たちはこれまでも数多く取り上げられてきましたが、會自体が取り上げられるのは2回目です。当初、会場は前回と同じレンガ蔵が予定されていましたが、暑さ厳しく、人数も多いこともあり、残念ながら蔵の脇にある母屋にての開催となりました(後で、蔵を見せていただきました)。

 与謝野晶子・鉄幹から始まる資料の中、取り上げられた作品数が多かったのは北原白秋と木下杢太郎です。中心人物の一人、吉井勇ももちろんあります。上田敏の『海潮音』からもボドレエル、ヴェルレエヌ等、8篇と序がとられていました。そして、パンの會の発足を考えるうえで欠かせない『五足の靴』の冒頭も紹介され、Pippoさんからの説明が入ります。

 いつもの通りの朗読くじを引きます。最近、このくじは交換可ということで、次第に「くじ」でなくなっている傾向がありますが、今回は私も最初に引いたものを白秋の『邪宗門』から「邪宗門秘曲』に図々しく、変えてもらいました。

 南蛮趣味溢れるこの詩を一度朗読してみたかったのです。声に出すと、南蛮趣味溢れる言葉のもたらす、リズムや音がますます自分に響いてきます。『五足の靴』のもたらした南蛮趣味に満ち満ちたこの詩の楽しさは、まさに音とリズム、そして言葉のもたらす不思議なイメージにあるのでしょう。キリシタン禁制の高札が撤去されてから、そう遠くないこの時期に、これを読む人々には、どんなイメージが湧き上がったのだろうと、想像するのも楽しいものです。

 パンの會のテーマソングとも言える「空に真赤な」もありました。確か「ラッパ節」にのせて歌われたと記憶しています。(今度のリターンズで誰か歌ってください!)パリのカフェ文化への憧れと江戸趣味が混じり合ったパンの會。木下杢太郎は、後に「食後の唄」の序で「その時の歌には、唯空虚な騒擾の迹と、放逸な饒舌の響とが残ってゐるのみである」と記していますが、若き詩人や画家たちの集まりであったパンの會は、それが若さ故であったとしても、熱いものにあふれていたのだろうと思います。

 ポエカフェで朗読さtれた、その頃の杢太郎の作品を一つ上げておきます。「波羅葦増」です「いかに、いかに、羅馬人よ。/西班爾亜、義太利亜、さては/羅馬は定かに見つれ、/紅毛も愛でたたへたる/阿蘭陀のこの鑞版の/この絵図のいづくにか在る。/汝がいふ波羅葦増の国は。」南蛮趣味溢れる作品です。

 もう一つ、朗読はされなかったのですが、私の好きな作品「金粉酒」の最初の2連を紹介しておきます。「EAU-DE-VIE DE DANTZICK/黄金浮く酒/おお五月、五月、小酒盞/わが酒舗の彩色玻璃/街にふる雨の紫。//をんなよ、酒舗の女、/そなたはもうセルを着たのか、/その薄い藍の縞を?/まっ白な牡丹の花、/触るな、粉が散る、匂いが散るぞ。//…」若い杢太郎が金粉酒ごしに見つめる女の姿が浮かびます。

 31日のリターンズでは、テキストも少し改変されているとの事。今回触れられなかった事柄も取り上げたいとのPippoさんのツイートがありました。楽しみは広がります。

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